映画

「メランコリア」@ブルク13

ストーリーよりも、リアリティやディテールに注目すべき映画だと思った。 メランコリアの存在感がすごい。2つの月のシーン、電柱からの放電、不吉な重低音などとにかくリアルだった。 メランコリアはアンタレスを遮って、地球へと向かう。ブランショによると…

「絶対の愛」

キム・ギドクの映画の中でベストかも。テーマは愛の唯一性である。Timeという原題は、時間に経過による、愛欲の低下に関連付けられると思う。 セヒは、恋人のジウが別の女を思い自分を抱いたことに、悲しみを覚えて、整形手術を受け別人になり、常にジウの関…

「クライング・ゲーム」

IRA絡みの話だが、社会派の映画ではない。 ラカンの有名な(悪名高い)テーゼ「男女関係は存在しない」を表す例として、ジジェクが言及していた映画だ。 見て良かったと思ったのは、重要な役でフォレスト・ウィテカーが出ていたことだ。味のある役者だと思う…

「ミスター・ノーバディ」

「ファム・ファタール」に似ているように思った。浴室のシーンとか。この映画を一言で示すと「パラレルワールド x 純愛 x SF」と言えるだろうか。 3人の女の子の誰と結婚するか、離婚した両親のどちらに付くかなどの組み合わせで幾通りもの人生が描かれる。…

「さすらい」

長い映画だった。冒頭のフォルクスワーゲンが爆走して、湖に突っ込むシーンが鮮やか。 最初は二人の男の背景がわからず、話に入り込めなかった。 テーマは最後の方までわからなかったが、最後の会話でようやくかなりクリアになった。ラストの会話はかなり共…

「エッセンシャル・キリング」@アップリンク

たまたまツイッターで公開中であることを知り、見に行った。 ランボー+タルコフスキーというコピーのとおり、アクションシーンが見ものではある。タルコフスキー的なのは終盤だろうか。 僕は「変態村」にも似ているように思った。たぶんストーリーがシンプ…

「都会のアリス」

ロードムービーでヌーヴェルヴァーグ風の映画。 モノレールが車道の上を走っているというアムステルダムの街の風景がおもしろかった。 アリスには9歳とは思えない大人っぽさがある。 音楽や光の使い方が良かった。エンターテインメント性はないが、良作だと…

「(500)日のサマー」

構成が凝っていて、退屈しなかった。 別れた後、トムとサマーとの間にドクサの交換がある。しかし、運命と偶然は捉え方の違いでしかないと思う。 『ドリアングレイの肖像』(この本が運命的な出会いに関与しているのだろうか)をカフェで読んでいたとき、た…

「ブラックスワン」@横浜ブルグ13

ダーレン・アロノフスキーは、痛い映画が好きなのか。 「Π」しかり、「レクイエム〜」しかり(他は見ていない)。 今回もそれらに勝るとも劣らぬ痛さがあった。 完成度は高いと思う。ただCGは使わない方がよかった箇所があった。 「白鳥の湖」の主演に抜擢さ…

「しあわせな孤独」

不倫の話は誰かが悪いとは思わない。セシリが医者を求める気持ちはわかる。「私たちはチームね」という医者の奥さんは、自分の運転でヨヒアムの人生を大きく狂わせたことについて、同乗していた娘のように何らかの責任を感じるべきだと思う。夫の不倫も因果…

「SOMEWHERE」@川崎チネチッタ

「ロスト・イン〜」と似ているが、より深い話に仕上がっていると思う。 経済的に成功し、女性からも大モテの男の空虚さというのは実感としてはわからないが、この映画は説得力がある形でそれを提示していたと思う。ラストも好感が持てた。 スティーブン・ド…

「メイド・イン・ホンコン」

1997年の香港映画。 はみ出し者の若者たちを描いた作品。 主演のサム・リーが光っていた。サム・リーは「ピンポン」で見て以来、ずっと気になっていたが、この映画ではサム・リーの魅力が全開になっている。 いしだ壱成に似ているかもしれない。実際DJもやっ…

「しあわせの雨傘」@GENTO YOKOHAMA

台所に囲い込まれた主婦が社会とのつながりを取り戻すという、フェミニストが喜びそうな映画。 主役のカトリーヌ・ドヌーヴは、とうに還暦を過ぎているが、なかなか魅力的だった。太っているが、悪くない太り方だと思う。 ジェラール・ドパルデューは太りす…

「インファナル・アフェア」

疑問箇所もあったが、よかった。冒頭で一気に話を飛ばしているが、予め続編を作ることを想定していたのだろうか。 アンディ・ラウが遺品の携帯電話に掛けるシーンが最高だった。 登場人物が皆、欧米のライフスタイルに染まっていることが気になった。精神科…

「ワンダーランド駅で」

二人の背景が丁寧に描かれていることに好感が持てたし、エマソンのアフォリズムも有効だった。水族館絡みの話も良かった。しかし、ラストが残念。 ブラジル人の男と出会い、最終的にブラジル行きを決めることで興ざめした。仕事はどうするのか? 無責任極ま…

「それでも恋するバルセロナ」

画家の男はセルジュ・ゲンスブールをモデルにしたのだろうか? 画家の男を中心とした三人の女の恋愛話。 ペネロペの魅力がいまいちわからなかった。 スカーレット・ヨハンソンが身を引いたのはなぜだろう? 後半少し失速した感があるが楽しめた。トリュフォ…

「シングルマン」@ブルグ13

冒頭の全裸の主人公が水中でもがくシーンからして、美しく撮られている。接写の多いカメラワークが良かった。 服装や車などで60年代という時代をよく表していたと思う。 銀行で出会った女児の昔のアイドルのような服装が異様に思えた。 コリン・ファースの演…

「ルールズ・オブ・アトラクション」@DVD

セックスとドラッグ三昧の日々を送るアートスクールの自堕落な学生たちが描かれている。冗長に感じた箇所もあったが、全体としては楽しめた。 タレ目でタフガイっぽいショーン(アメリカン・サイコの弟という設定)の恋愛の話が軸になっている。 ヒロインの…

「落下の王国」

劇中劇の構造になっている。 映画の中の話は、壮大で色鮮やかな風景に満ちている。また、コスチュームのデザインが凝っている。しかし、話自体はB級チック。 現実の話は自殺願望のある青年と少女の交流の話でこちらはよくできてる。ただ、ハリウッド大作的な…

「ワンダフルライフ」

自分の人生の場面をビデオで見せられるという設定はドキッとした。 僕も小説で同じ設定にしたことがあるからだ。 一つの思い出の場面を永遠に過ごすということがイメージできなかった。 何か辛いような気がしてならない。 ある場面を永遠に過ごすにしても、…

「ガールフレンド・エクスペリエンス」

結構社会派の映画だった。米国の不景気に言及するセリフが多い。 ストーリーの時系列がモザイク状になっていてパズルのようでちょっと分かりにくいけど、まあ、これはOK。 富裕層の闇を描いた作品というフレーズをどこかで見たが、闇というほどディープなも…

「鍵がない」@DVD

鍵をなくして帰宅できない女の子の一夜を過去の恋愛に絡めてファンタジックに描いた映画。 つぐみという女優が主演。美人だけど、どこにでもいそうな感じの子。 映画では、つぐみの内面の葛藤に焦点が当てられている。 つぐみは部屋の合鍵を持っている大森南…

「エンター・ザ・ボイド」@シネマート六本木

鬼才ギャスパー・ノエによる輪廻転生というテーマに挑んだ作品。 カメラワークがまず面白いし、トランス状態のCGや何度も繰り返されるフラッシュなどのギミックに溢れている。 カメラは主人公の死後、上空か、回想シーンでは背後に位置している。 【以下ネタ…

「リミッツ・オブ・コントロール」@ジャック&ベティ

横浜黄金町にある映画館「ジャック&ベティ」で見てきた。 「ゴーストドッグ」にも似ているし、「ブロークンフラワーズ」にも似ている。 殺しを請け負った「孤独な男」というコードネームの黒人男(彼は「ゴーストドック」でアイスクリーム屋だった)がミッ…

「ダークナイト」

とにかく金のかかった映画である。 圧倒的な物量に唖然とさせられる。 でも、それだけでなくて、 たぶんバッドマンシリーズでは例外的にシリアスなストーリーになっている。 【以下ネタばれあり】

「春眠り世田谷」

結構引き込まれたが、ラストがちょっと駆け足すぎだったかな。 【以下ネタばれあり】

「アンナと過ごした4日間」@イメージフォーラム

「出発」のイエジー・スコリモフスキの映画ということで期待していたが、 期待を裏切られることはなかった。 素朴な中年男レオン・オクラサの看護師アンナへの片思いの話。 ポーランドの田舎が舞台になっていて、暗い感じの映像が多い。 時系列順のナラティ…

「ドリーマーズ」

三角関係と政治の話(舞台は68年頃のパリ)を足して2で割ったような話だ。 青臭いかもしれないが、僕は割と楽しめた。 ただ、懐古趣味的な気がしなくもない。 米国人のおのぼりさんマシュー(マイケル・ピット)と 貴族的な風貌の男女の双子との自閉的な生活…

「あるいは、裏切りという名の犬」

実話に基づいた話のためかもしれないが、詰め込みすぎに思えた。 ジェラール・ドパルデューの過去も描いて欲しかった。 映像は独特の質感があり、見ごたえがある。 パリの街並みも美しい。

「ファム・ファタール」

冒頭の計画はあまりに無理がないか? モデルが誘惑されなかったら? それに、あの宝石のすり替えがうまく行くはずはない。 【以下ネタばれあり】