「メランコリア」@ブルク13

ストーリーよりも、リアリティやディテールに注目すべき映画だと思った。
メランコリアの存在感がすごい。2つの月のシーン、電柱からの放電、不吉な重低音などとにかくリアルだった。
メランコリアはアンタレスを遮って、地球へと向かう。ブランショによると災厄(désastre)とは星の失墜が語源だと言う。メランコリアは、語の正確な意味で災厄である。
【以下ネタばれあり】
映画では、フランス式庭園を持つ有閑階級の世界しか描かれていない。映画のような状況になったら、どうなるかと考えた。メランコリアのニアミスが確実になった時点で、社会はまともに機能しないだろう。金銭の価値が恐ろしく低下し、人々は物資の確保に汲々とするだろう。ラスト数時間では、大半の人々は、クレアかその旦那かのどちらかの行動パターンを取ると思う。ジャスティンだけが落ち着いていたが、ジャスティンはすでに結婚式の時点で死を悟っていたのだと思う。だから、結婚式で夫と上司をともに失う。
あれほどの災厄になるともはや災厄は存在したとは言えないだろう。なぜなら、人類が殲滅した場合、存在は認識されないからである。