2005-01-01から1年間の記事一覧

日本における宗教的なもの2

孤立が自殺を助長しているという話を聞いた。家族がいるにもかかわらず孤立していると感じる場合もあるようだ。思うに孤立とはコミュニケーションに対して閉ざされている状態であろう。近しい相手に対しても無意識の内に心を閉ざしていることもあるのではな…

日本における宗教的なもの

昔から日本には宗教がないと言われてきた。昔は宗教と言われてもピンとこなかったが、そういうものなしに生きるのは不可能と言わないまでも困難な道だと思うようになった。 今日は日本において多少とも宗教の代わりになると思われるものを考えてみたい(ここ…

小説を書くことのメリットの一つは自分の書いたことに対して距離を保てることだ。登場人物に自分の思いを語らせることもできる。しかし、論文のようにそれが自分の本音だと取られることはない。だからこそ、自由に書けることがある。簡単に言えば、大真面目…

電車男

武田真治主演の劇場版をテレビで見た。出演者が2ch語を発音しているのがおもしろかった。エルメスは寛大すぎて逆に怖い。あんな女を求めている男は重症ではないだろうか、とオモた。

『バートルビー 偶然性について』(ジョルジュ・アガンべン)

イタリアの哲学者アガンペンによる『バートルビー』についての批評が『バートルビー』の新訳とともに収められている。 アガンベンの批評は、書くこと/思考することについての観念的な議論から始まり、潜勢力と現勢力という概念が提示される。潜勢力とは能力…

『偏愛の文学』(ジュリアン・グラック)

グラックの評論集。彼の偏愛する作家や同時代のフランス文学全般について書かれている。 僕はグラックの作品は『陰鬱な美青年』しか読んでおらず、グラック自身についてのバックグラウンドについては何も知らなかったが、この評論集は作家の「偏愛」に基づい…

「プライマル」(原稿用紙26枚)結婚したがっている28歳のOLの話です。昔の恋人との偶然の再会という設定から演繹的に書きました。よかったら読んでみてください。

仕事をしていると自由時間が限られてくるのは悲しい。執筆なんてやっていると週末はあっという間に終わってしまう。しかも、パソコン上で書くものだから、どうしてもネットをやってしまいなかなか集中できない。今日も少し書いてはネットの繰り返しで、かな…

『哲学宣言』(アラン・バディウ)

バディウ自身が言うには、自分の主著である『存在と出来事』の啓蒙版のような本だそうだ。 興味深かったのはバディウが哲学に不可欠な四つの条件の一つとして「数学素」を挙げていることである(他には詩、政治的創意、愛)。バディウは大変数学に造詣が深い…

『マラルメ論』(ジャン=ポール・サルトル)

マラルメの生きた時代背景やマラルメの人生および友人に宛てた手紙などに触れながら彼の詩作について論じている。 ロマン主義の終わりと神の死により、マラルメは詩を書くことそのものを問いに付さざるを得ない困難な時代に生きた。また、マラルメの家は役人…

『イルマ・ヴェップ』(オリヴィエ・アサイヤス 1996年)

サイレント映画『吸血ギャング団』のリバイバル版を撮るという設定。監督のルネ(ジャン=ピエール・レオ)は、主役のイルマの役に中国女のマギー・チャンを起用する。マギー・チャンが単身でパリに乗り込み、映画制作に巻き込まれるというのがストーリーだ。…

『逃げてゆく鏡』(ジョバンニ・パピーニ バベルの図書館30)

ポーの影響を受けたイタリアの作家、パピーニの短編集。ボルヘスは序文で「忘れ去られた人」と言っていたが、この作家の本は他に見たことないし、実際そうなのかもしれない。 僕はまず本の題名に惹かれた(同名の短編が収められている)。短編の全タイトルは…

『骰子一擲(とうしいってき)』(スティファヌ・マラルメ)

異様な本(詩)である。ページを捲ると異様な光景を目の当たりにする。ページを跨り所々大きさが違う文字がさまざまに配置されいる。そのヴィジュアルにまず驚かされる。 そして、内容だが、僕はこれほど異様な内容を知らない。意味はほとんど理解できない。…

「書記バートルビ」(ハーマン・メルヴィル)

『白鯨』のメルヴィルの中編小説。「ごめんこうむります」と言い、すべての仕事を拒否する青年バートルビが主人公。雇用主の博愛をもってしても、バートルビを救うことはできない。彼は市民社会を拒絶し、無価値性の側についたのだった。 バートルビの態度に…

『ふたりの5つの分かれ路』(フランソワ・オゾン 2004年)

愛に終わりがあることを前提としたラブストーリーという宣伝文句に興味を持った。男女の出会いから別れまでの各段階を描いた話だ。ストーリーはボタンの掛け違い(?)から別れへと至るというありきたりものだ。斬新なのは別れの場面から出会いの場面へと遡…

『フューチャー・マチック』ウイリアム・ギブスン

『ヴァーチャル・ライト』『あいどる』に続く三部作の完結編。今回も『あいどる』と同じように章ごとに何人かの登場人物の視点に切り替わる。 結節点を見出すことができる(一種の予知能力のようなもの)ネットランナー、レイニーは1911年以来の巨大な変化が…

『ガーゴイル』(クレール・ドゥニ 2001年)

痛々しい映画だった。シェーン(ヴィンセント・ギャロ)とコレ(ベアトリス・ダル)は、セックスのとき愛する相手を噛み殺してしまう病気にかかっている。ドラキュラよりも哀れである(ドラキュラが血を求めるのは愛とは関係ないから)。 通常の恋愛でも愛す…

Sneaker Pimps/I am X

2002年に三枚目のアルバム「Blood Sport」がリリースされた。前作に比べずっとメインストームよりの音楽になっている。ジャンルはエレクトロ・ロックというのだろうか。音が太くなり、スケール感が増した。ただ雰囲気的に似たような曲が多い気がする。僕はボ…

Sneaker Pimps

このバンドは90年代半ばから知っている。たぶん当時見ていたTV番組「Beat UK」で知ったのだと思う。以来、大好きなバンドの一つになっている。 96年にリリースしたファーストアルバム「Becoming X」の成功を受け、97年のフジロックにも出演予定だった。商業…

『アレックス』(ギャスパー・ノエ 2002年)

バイオレンス系の映画。「どフランス系」というのだろうか。いつもショッキングな映像で観客の度肝を抜くノエ監督だが、今回も期待を裏切らなかった。また「カルネ」や「カノン」に比べて、いっそう実験的な作風である。未来から過去へと遡る時間の流れの中…

「東京タワー」(原稿用紙39枚)一言で言うと恋愛もの。失職した男が東京に来てからの日々を振り返り、自分の過去の恋愛を見出すという話です。よかったら読んでみてください。

『エレファント』(ガス・ヴァン・サント 2003年)

陰惨な事件をモチーフにした映画だが、独特の手法により、事件の恐怖が効果的に描き出されているように感じた。 ありふれた高校の一日が複数の生徒の視点から描かれている。前半は、平凡で退屈でさえあったが、事前に内容を知っていたせいか不吉な雰囲気はあ…

『異人たちとの夏』(大林宣彦 1988年)

思い出深い映画である。高校生の頃にこの映画を見て、初めて映画を見て感動するということを知った。風間杜夫演ずる主人公が「異人」である両親と別れるシーンに感じた切なさは、それまでよく見ていたアクション映画からは決して感じることはなかった感情だ…

『シルヴィ』ジェラール・ド・ネルヴァル

『火の娘(Les filles du feu)』に収められている中篇小説。主人公の<私>は子供の頃、村の祭りで城館の娘、アドリエンヌと踊った体験が忘れられない。 大人になった<私>は女優のオーレリーにアドリエンヌの再来を見て、彼女に恋をする。<私>はオーレ…

『25時』(スパイク・リー 2002年)

明日から刑務所に入るモンティ(エドワード・ノートン)のシャバでの最後の一日が描かれている。 ヤクの売人に手を染めた男の転落人生の末路である。 自分もちょうどブルーになっていた時期に見たせいか、モンティの刑務所入りが論理的には自業自得だとして…

ゴダールナイト

8月の終わりに池袋の文芸坐で開催されたゴダールナイトに行ってきた。 上映されたのは次の五本。 「はなればなれに」(1964・仏/フランス映画社) 「ウイークエンド」(1967・仏=伊/フランス映画社) 「フレディ・ビュアシュへの手紙」(1981・スイス/フラ…

『キル・ビル Vol.1』(クエンティン・タランティーノ 2003年)

タランティーノの日本観(サムライ、ヤクザ、女子高生など)が詰め込まれたアクション映画。殺陣のシーンでやたらと手足が斬られ、血が噴出すのが見所か。ユマ・サーマンの日本語は下手すぎると思った。

ホームページ開設

以前は自分のホームページを作ることなど考えなかったのですが、小説を書いている者として発表の場が欲しくなって作りました(画面左上にリンクがあります)。 作った以上ほったらかしにするわけにはいかないので、継続的に小説を発表していくつもりです。 …

『誰も知らない』(是枝裕和 2004年)

よくできた映画だと思った。欠点を挙げることができない。こういうウエルメイドの映画を見て損した気分になる人はまずいないだろう。しかし、この映画には驚きがなかった。「よくできました」で終わりだった。

競争社会に乗れないということ

結局、それはいかんともしがたいことであり、そうである以上、いわゆる負け組みなわけである。多くの人は有用な知識・技術の習得に精を出しているが、僕は役に立つというだけで何かを学ぶ気にはなれない。 世間で言う「勝ち」とはいい暮しをすることである。…