2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『骰子一擲(とうしいってき)』(スティファヌ・マラルメ)

異様な本(詩)である。ページを捲ると異様な光景を目の当たりにする。ページを跨り所々大きさが違う文字がさまざまに配置されいる。そのヴィジュアルにまず驚かされる。 そして、内容だが、僕はこれほど異様な内容を知らない。意味はほとんど理解できない。…

「書記バートルビ」(ハーマン・メルヴィル)

『白鯨』のメルヴィルの中編小説。「ごめんこうむります」と言い、すべての仕事を拒否する青年バートルビが主人公。雇用主の博愛をもってしても、バートルビを救うことはできない。彼は市民社会を拒絶し、無価値性の側についたのだった。 バートルビの態度に…

『ふたりの5つの分かれ路』(フランソワ・オゾン 2004年)

愛に終わりがあることを前提としたラブストーリーという宣伝文句に興味を持った。男女の出会いから別れまでの各段階を描いた話だ。ストーリーはボタンの掛け違い(?)から別れへと至るというありきたりものだ。斬新なのは別れの場面から出会いの場面へと遡…

『フューチャー・マチック』ウイリアム・ギブスン

『ヴァーチャル・ライト』『あいどる』に続く三部作の完結編。今回も『あいどる』と同じように章ごとに何人かの登場人物の視点に切り替わる。 結節点を見出すことができる(一種の予知能力のようなもの)ネットランナー、レイニーは1911年以来の巨大な変化が…

『ガーゴイル』(クレール・ドゥニ 2001年)

痛々しい映画だった。シェーン(ヴィンセント・ギャロ)とコレ(ベアトリス・ダル)は、セックスのとき愛する相手を噛み殺してしまう病気にかかっている。ドラキュラよりも哀れである(ドラキュラが血を求めるのは愛とは関係ないから)。 通常の恋愛でも愛す…